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イタリアの風:Chigusa Kuraishi Blog

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顔真卿と空海の書

1月16日から2月24日、王羲之を超えたと言われる名筆「顔真卿」の展覧会が東京国立博物館で行われた。顔真卿は唐代の政治家・書家。

この展覧会での話題となった作品は、台北・國立故宮博物院から特別に貸し出された「祭姪文稿」

一般公開されることが極稀なため、中国からも多くの人が、日本に観に来ていた。館内に入るまでに50分、この日本初公開の「祭姪文稿」特別展示室に入るまでにまた70分待って、大変な混雑の中見終えることができた。これほどの充実した「書」の展覧会はなかなか観られないから充分待つ価値があったと言える。

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# by Art-Chigusa | 2019-03-14 18:23 | 私のメモから

テスト

しばらく、記事がアップできなくなっていました。テストしています。これから復帰したいと思います。
# by Art-Chigusa | 2018-05-25 04:08

The exhibition "Grimm Museum" by Grimm Twins

The exhibition: Grimm Museum


2017年12月1日から2018年1月7日まで、Grimm Twins (Ayumi Makita とBarbara Lachi)による展覧会”Grimm Museum”が、
中部イタリアペルージャの3つの美術館・博物館Capitolo della Cattedrale di San Lorenzo美術館、Palazzo della Penna市立美術館、
ウンブリア州国立考古学博物館で開催された。国立考古学博物館では特別に1月21日まで会期が延長されるなど、展覧会は大きな評判を呼んだ。

この展覧会のオープニング・レセプションでは、ペルージャの美術評議委員長Maira Teresa Severiniが、
---umbriaoggi.newsよりコメント抜粋ー「誰にも夢をみさせてくれる童話がテーマですが、よく見かけるような展覧会とは趣向が異なり、
いっそう独創的で、典型的な東洋の繊細さが西洋の文化に融合しており、本当に魅力的です」と賛辞を贈っている。

確かにこの展覧会の魅力は、東西文化の融合にある。つまり、2人の作家がそれぞれ日本とイタリアに出自を持ち、ドイツのグリム兄弟
(19世紀の言語学者、民話収集家・文学者)の童話を題材に、想像力を膨らまして現代によみがえらせている。しかし本展の魅力はそれだけに留まらない。
何よりも表現手段が多彩だ。イラストレーションが基調となるが、それだけではなく、折り紙、切り紙などを用いたインスタレーション(空間表現)、
イラストを動画にしたアニメーション、さらには影絵のシアターを3次元的に仮設するなど、実にバリエーションに富んでいる。

最終日には、Cecilia Ventrigliaによるパフォーマンス”Rosaspina”(Sleeping beauty)も披露された。

 ペルージャの国立考古学博物館に収蔵されている、古生物学者、化学者、天文学者であったGiuseppe Bellucci(1844-1921)の集めたアミュレット
(魔除け、お守り)から発想したオブジェの制作もあちこちに展示されていた。その民族学的資料と現代美術の興味深い融合によって、
どこか無気味な恐ろしさと魔術的な不思議を醸しだし、展覧会に魅力的な彩りを添えていた。

歴史の隔たり、国や惑星の境界、表現のジャンルを自由自在に行き来する、不思議で幻想的な展覧会なのだ。

さらにグリム・ツインズは、展覧会に合わせてコラージュや折り紙をテーマとする子供向けのワークショップをあちこちで行った。
彼らは観客も巻き込んで自分たちの創造する世界に参加させ、それをみんなで共有する場を作っている。アートを広い意味での社会貢献に
つなげていることも注目に値する。

動画制作は、支援団体アーモンド・コミュニティネットワーク(NPO法人)の協力を得ている。
不登校や引きこもりの悩みを抱える学生、仕事や家族の問題を抱える人々を救済する団体だ。

この展覧会は、単なる子供のための工作展ではないし、メルヘンチック・乙女チックなイラスト展でもない。つくるという自閉的なシステムからの脱却、
展覧会という古いシステムの境界線を広げる発案、企画。過去の文化の継承を促し、未来に繋げる真剣な活動でもある。

ペルージャという街から世界へ発信する、Grimm Twinsの意図とは?
作者=主体と観客=客体の間にある境界線を外して、見えないものを見えるようにすること。そこには疲れ切った、諦めた若者たちへの力強いメッセージも
ある。この展覧会は怖い世界も垣間見せている。そもそもグリム童話には恐ろしい話が満載だ。子供達は、御伽話や民話から、考えることを学ぶ。
アミュレットで身を守りながら、おそるおそる中へ入って見よう。ふと足を止めてみると、そこには、私たちを夢みさせてくれる童話がある。
でも人生は美しい薔薇や純白なお花ばかりに包まれているわけではない。人生は辛いことの方が多く、世界には、棘の生えたいばらやネズミもいる、
そして可愛い猫はネズミを食べようと追いかける。でも勇気を出して、一歩踏み出してみよう、そのように伝えているように感じられる。Grimm Twinsは、文学趣味やありきたりな比喩、意味ありげな象徴、感覚的な美しさを超えて、静かに軽やかに独特の透明で普遍的な詩的世界を確立しつつある。

The exhibition \"Grimm Museum\" by Grimm Twins_f0178334_05042812.jpg




# by Art-Chigusa | 2018-01-15 05:17 | Mostra

DISSOLVENZE INCROCIATE

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私も参加している、ウンブリア州サン・ジュスティーノ(ヴィラ・グラツィアーニ)で行われている6月18日に始まったグループ展”DISSOLVENZE INCROCIATE(クロスオーヴァー・フェードアウト)”が今日で幕を閉じようとしている。とても反応がよく、サイトのアクセスは、12000人を超えたという。美しい庭園を持つ、このヴィラ(館)は、1600年代、建築家アントニオ・カンタガッリーナによって設計され、建設された。
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 この展覧会は、アーティスト約40人が自作を2点、さらに“フェードアウト”(DISSOLVENZE INCROCIATE)をテーマとする他のアーティストとの共作を2点、1人につき合計4点の作品を制作する企画である。キューレーターは、ジュゼッペ・サレルノ、主催はSpazio 121 。 
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他者とのコラボレーションは、明らかに自らのアーティストとしてのアイデンティティの一部を捨て去ることにもつながる。しかし同時に個性を生かさなければならない。現在、他者とのコラボレーションは、極めて困難な営為である。この展覧会のテーマ“フェードアウト”は、私にとって、複雑かつ苦渋に満ちた探求である。アイデンティティは揺らぎ、ダイアローグにポストを譲る。まず人間同士のダイアローグがあって、次に異文化間のそれが続かねばならない。コラボレーションという行為をテーマとするこの企画を通じて私は、自己の芸術制作におけるアイデンティティを手放しつつ、同時にそれを追求する行為が、いかに勇気あるものであることかを提示したい。現在の世界では、つねにコミュニケーションが困難で、かつ無理解とエゴイズムがはびこっている。他者に与え与えられること。そして自己の「フェードアウト」が、いかに危険を恐れぬ行為であるかを示したい。まさしく自己がフェードアウトしながら、他者の生成に、与え与えられることが必要だ。破壊、冒瀆、寛容、慰撫が、絶え間なく出現と消失を繰り返す。寄せては返す波のように、光と影を伴って。それは創造と芸術の波動なのである。この後、9月2日には、ファブリアーノ(マルケ州アンコーナ)で、その後テルニ(ウンブリア州)でもこの展覧会は巡回する。
# by Art-Chigusa | 2017-07-31 00:02 | My exhibitions

村上春樹 Traduttore Giorgio Amitrano a Perugia

イタリア人が日本の現在を理解しようとする時、誰もが、吉本ばななか村上春樹を読む。ミラノでは知識人は、教養として村上春樹を知っていることが、常識かのように、ビジネスーツの男性もOLも、若い世代のほとんどみんなが知っている。そして日本人の私を見ると、2人の作家のことを話しだすイタリア人がどんなに多いことか。その裏には、翻訳家のジョルジョ・アミトラーノ教授の功績がある。
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読書を楽しむ会Circolo dei Lettori Perugia の招待で村上春樹、吉本バナナの翻訳家で有名なGiorgio Amitrano教授がペルージャを, 4月28日訪れ、村上春樹について語った。旧市街のPalazzo Pennaの会場には、座れないで立って聞き入る人も溢れていた。
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村上春樹は、あまり表に出てこない、インタビューもあまり好まない、おしゃべりではない。小説を書くことに集中している人で、記者に対しては、常に肩透かしをするような返答をするが、読者に対しては、とても丁寧に自ら返答し、そういう雑誌も出ているそうである。Amitrano教授が明かした村上春樹のあるインタビューでの言葉「小説を書くことは走っている馬にしがみついて振り落とされないよう必死に走りぬくようなもの、とてもエネルギーがいる」という言葉には感動した。村上春樹は日本語でしか読んでいないが、吉本ばななのイタリア語訳はとてもセンスがいい。だからどんな人が訳しているのか知りたいと思っていた。私が一番好きな村上春樹の作品は、「風の歌を聴け」で、いい時代のアメリカ文化に影響を受けて、さわやかな青年のような清々しさ、みずみずしさがある小説だった。社会がもっと複雑になると同時に彼の作品ももっと技巧のレベルが上がって、もっと創造性や空想力や、現代性が増す。それでも「ノルウェーの森」や「1Q84」でもその根底にはやっぱり初期の軽やかさや優しさが生きている。月が2つ出て来るシュールなイメージはとても絵画的で、私も影響を受けて、最近の月と華と蝶の絵を描いている時に、月を2つ入れてみた。より超現実的な世界へ近づき、絵が更に魅力的に深くなったと思う。私の友達は、「素晴らしい凄い文学なのだから、セックスの話が出てくるのが気に入らない」という。「世俗的になってしまう」という。私はそうは思わない。村上春樹の描写は、いやらしくも、エロスもあまり感じない、やっぱりさわやかなままだ。そこがよく同じ村上でも比較されるのが村上龍。この日も村上龍の「限りなく、透明に近いブルー」にも触れていたが、龍さんの方がエロスが直接的に表現されている。村上春樹の小説には、本の話、映画の話、特に音楽の話が出て来るので、小説を読みながら、BGMを頭の中で想像しながら流している感覚で読みすすめる。特別な独特なスタイルでとても好ましい。今はソーシャルでみんなが共有する音楽を彼は、かなり昔から、読者と好きな音楽を共有するような感覚で、画期的だ。
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さすがにイタリア人。日本のアートのことも紹介した。Amitrano教授は写真家の杉本博司やアーチスト森村泰昌、などにも触れて、冗談交じりのとても興味深い講演だった。ペルージャ外国人大学の教授たちも協力して“蜂蜜パイ” 「神の子供たちはみな踊る」P236を朗読した。
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# by Art-Chigusa | 2017-05-05 19:33 | Altri
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ペルージャ在住 アーティスト


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