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イタリアの風:Chigusa Kuraishi Blog

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新・北斎展

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2020年東京オリンピックに向けて、日本人のパスポートに、葛飾北斎の「富嶽三十六景」の富士山と波の絵が使用されるほど、北斎は日本の象徴となった。

私は2月に、新・北斎展を見る機会に恵まれた。森アーツセンターギャラリーで、1月17日から3月24日まで開かれている。

葛飾北斎(1760−1849)の全479展が展示されている。北斎は世界でも高い評価を受けている。イタリアでも北斎の展覧会には、いつも多くの人が集まる。2017年にミラノで、2018年にボローニャで行われ、高い評価を受けた。1999年にアメリカの『Life』誌が、「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物の100人」で北斎を86位に取り上げている。

葛飾北斎の展覧会は、イタリアでも日本でも出来る限り観るようにしているが、今回の森アーツセンターギャラリーでは、見た事がなかった作品に触れる事ができて、驚いたとともに、満足感が大きかった。ちょうど私は弘法大師・空海にはまって色々本を読んでいるため、空海のことを描いた大作に圧倒された。葛飾北斎の娘お栄を描いた、直木賞作家・朝井まかての小説「眩」(くらら)が話題となっているが、この作品は、娘も手伝ったとも聞くが、友人から聞いた話なので、本当かはまだ確認していない。この小説を読みたいし、映画化もされているので、観たい。

葛飾北斎は貧しい百姓一家に生まれる。有名になるために努力する画家が多いが、北斎は画名が売れてくると、絵が高値で売れることを嫌い、画名を何度も変えたという。「春朗」「宗理」「北斎」など、約30回ぐらい?!画名を変えている。それでも北斎の絵が北斎とわかるというのも凄い。93回!(かなりの変人か?)引越しをして、食事は出前で済ませたという。お酒も飲まず、タバコも吸わなかったようだ。絵は売れて名声を得たが、生活は貧しかったという。朝から深夜まで絵筆をとり、食事にかまわない人で、寝る前にお蕎麦を食べて、寝たという。75歳で出版した「富嶽百景」の巻末に書いている北斎の言葉「己六歳より物の形状を写すの癖ありて」という書き出しで始まり、「70年描く所は実に取るに足るものなし」「73歳でやや禽獣、虫魚の骨格、草木の出生を悟り得たり」「富嶽三十六景」を描き、千住に通って、「骨接ぎ名倉」で人体の仕組みを学んでいた。「90歳にしてその奥義を極め、100歳にしてまさに神妙ならんか、110歳にしては1点1格にして生けるが如くならん」と長生きをしたいという願いもしたためている。「富嶽三十六景」を出版した北斎は、「実に取るに足るものなし」と自分が何者でもないと謙遜し、努力を続けた。1849年4月18日午前4時、「天我をして10年の命を長ふせしめば」「天我そして5年の命を保たしめば、真正の画工となる得べし」と言って亡くなった。人生最期まで向上心を忘れなかった。

by Art-Chigusa | 2019-03-20 19:03 | 私のメモから
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ペルージャ在住 アーティスト


by Chigusa Kuraishi
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