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イタリアの風:Chigusa Kuraishi Blog

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顔真卿と空海の書

1月16日から2月24日、王羲之を超えたと言われる名筆「顔真卿」の展覧会が東京国立博物館で行われた。顔真卿は唐代の政治家・書家。

この展覧会での話題となった作品は、台北・國立故宮博物院から特別に貸し出された「祭姪文稿」

一般公開されることが極稀なため、中国からも多くの人が、日本に観に来ていた。館内に入るまでに50分、この日本初公開の「祭姪文稿」特別展示室に入るまでにまた70分待って、大変な混雑の中見終えることができた。これほどの充実した「書」の展覧会はなかなか観られないから充分待つ価値があったと言える。

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人生は不思議だ。偶然の出来事が、実は用意されていたかのように繋がって起こる。

日本へ帰省し、たまたま名古屋の書家の友人が、東京へ来たので、近所の人が、この書家と私のために、「顔真卿」の展覧会チケットを2枚プレゼントしてくれた。

日本へ行く前に、私はイタリア人アーチストに頼まれて、詩の本を出版するので、装丁のデザインを頼まれ、彼の絵に合わせて「空」の書を書いた。


名筆と呼ばれる書をインターネットで検索して見ていると、美しい「空海」が書いた空海の”空”の字に出会った。そして

空海とは、誰か?と調べることから私の「出会い」の道は始まっていた。彼について書かれた本を読み始めていた。空海「秘蔵宝鑰」、「空海に学ぶ仏教入門」など。空海は、774に生まれ−835他界した。顔真卿の時代(709−785)が少し重なっている。空海は時代こそ違うが、レオナルド・ダ・ヴィンチのように、万能な人だったことがわかった。中国へ渡り、通常20年で学ぶところ、2年で唐・長安・青龍寺の師・恵果和尚から密教の奥義伝授を授かり、日本に真言密教を広めた。この時、土木事業や薬学にも通じ、他分野を学んで日本へ持ち帰る。


この展覧会で、空海の「書」も数点展示されていた。その感動は言い尽くせない。空海はやはり超人だった。そしてアーチストだった。書の中に、ドロッピングのような、自由な線と点が踊っていた。絵画のような、詩のような書。空海は全てを超えていた。空海に出会いたいと思っていたら、こうして呼んで下さったとしか考えられない。自筆の書が見られるなんて。

何とも言えない、いい字を書く人だ。


この展覧会の私の収穫は空海の書を実際にこの目で見たことだった。しかし顔真卿にも出会った。空海が影響を受けた人物。この展覧会で話題となった「祭姪文稿」は、755年から763年に起きた安史の乱で亡くした従兄の息子、顔李明を供養する文章で、悲痛義憤に満ちた情感溢れた激情の「書」涙しながら観覧する人も見られた。顔真卿を中心にして、中国の書の変遷や、日本への影響、色々見所がある展覧会だった。日本は過去中国から色々なことを学び、現在があることがよくわかる。

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by Art-Chigusa | 2019-03-14 18:23 | 私のメモから
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ペルージャ在住 アーティスト


by Chigusa Kuraishi
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